病院概要 診療科特集~整形外科~
「整形外科」がどのような診療科か皆さんはご存じでしょうか?
身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる「運動器」を治療する外科で、背骨と骨盤というからだの土台骨と、四肢が主な治療対象となります。ざっくりと言えば、首から下の内臓以外をみる診療科です。
整形外科には「手外科」「肩関節外科」「股関節外科」「膝関節外科」「足の外科」「脊椎外科」「スポーツ医学」「リウマチ外科」「骨・軟部腫瘍外科」「骨代謝外来」など多くの専門分野があります。
伊勢病院が得意とする分野のひとつ「手外科」で治療することの多い、手の変形性関節症(OA)について今回お話しします。
手のOAは最も頻度の高い関節疾患で、加齢とともに発症率は増加し、痛みや動かしにくさ、変形など整容的問題などの症状があります。
指の先から、遠位指節間(DIP)関節、近位指節間(PIP)関節、中手指節間(MP)関節、手根中手(CM)関節と4つの関節があり、OAはDIP関節、PIP関節、母指CM関節に多くみられ、DIP関節のOAをヘバーデン結節、PIP関節のOAをブシャール結節と呼びます。診断にはX線検査を行い、関節リウマチや乾癬性関節炎、結晶性関節炎、感染性関節炎などとの鑑別が必要です。
治療方法には保存療法と手術療法があり、ほとんどの場合、まずは保存療法が行われます。 保存療法には、消炎鎮痛薬やサプリメントなどの薬物療法や関節注射、装具療法などがあり、伊勢病院では独自の装具療法を行っています。
セラピスト(主に作業療法士)がカスタムメードで作製するDIP関節とPIP関節を固定する装具を夜間のみ装着する治療方法(夜間スプリント療法)で、多くの患者さまで痛みの軽減が得られており、複数の指に装具を使用される方もいらっしゃいます。
保存療法で効果が得られなかったり、痛みや変形の強い方に対しては手術療法を行います。 手術方法としては、一般的には関節固定術が行われることが多いですが、指の動きを残したい患者さまのニーズに合わせ、伊勢病院では人工関節置換術も積極的に行っており、手術方法は柔軟に対応するようにしています。
手は身体の一部としては小さいですが、機能障害を生じると日常生活動作が制限され困ることもありますので、整形外科でご相談ください。
整形外科 部長 里中東彦