診療科のご案内 外科・消化器外科

当科の概要・特色

■おもに、消化器(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸・肛門・肝臓・胆道・膵臓など)の良性疾患や悪性疾患(癌など)に対する診療・手術を行っています。そのほかに、乳癌の手術や薬物療法、甲状腺・副腎疾患・そけいヘルニアなど、全身の疾患に対する手術治療を行います。

■外科専門医・指導医、消化器外科専門医・指導医を含めたチーム医療を実践することで、安全で確実な治療を推進しています。

■私たちは、開腹手術と体に優しい腹腔鏡手術とを状況に応じて適切に選択しています。その結果、腹部手術の約60%あまりの患者さんが腹腔鏡で手術を受けられています。

■癌などの悪性疾患に対しては、手術の前後を通じて薬物療法(化学療法)を行います。

■癌など悪性疾患を治療するうえでは、緩和治療も大切です。緩和治療は抗がん治療が終了したあとだけに行われるのではなく、癌に対する治療と緩和治療は並行して行われることもあります。私たちが携わる消化器がんでは、薬物治療も手術も緩和治療も必要となるケースが多くあります。途中で担当医が変わるのではなく、薬物治療も手術も緩和治療も一貫して同じチームで治療が継続できることは強みであると考えています。

■患者さんは、一人一人年齢も体力も違っていますから、同じ病気であっても人によって最適な治療法は異なることもあります。年齢や体力が違うだけでなく、人はそれぞれにいろいろな事情を抱えて生きています。治療計画を立てるには一人一人の患者さんの生活背景なども考慮されなければなりません。私たちは、患者さんやご家族へわかりやすい説明を行い、十分な相談を重ね、ともに治療していくという思いで診療に臨んでいます。

診察内容と対象疾患

 胃がんに対する手術や薬物療法(化学療法)を行います。早期がんでは腹腔鏡下胃切除術を行っています。進行がんでは原則として開腹手術を選択しています。
遠隔転移(他臓器への転移や胃の領域外へのリンパ節転移)を有する進行胃がんは、多くの場合は切除術の適応外(対象外)となりますが、胃の領域外へのリンパ節転移や肝転移を有する場合でも、薬物療法後に手術で切除できるようになるケースもあります。
 薬物療法では、抗がん剤・分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬をガイドラインに沿って適切に使用して治療しています。

大腸(結腸・直腸)

 大腸がん(結腸がん・直腸がん)に対する治療では、手術がその中心的役割を果たします。開腹手術・腹腔鏡手術があり、当科では大腸がんの切除手術の90%以上の患者さんが腹腔鏡手術を受けられています。
 大腸がんの薬物療法は近年目覚ましい進歩を遂げています。昔であれば切除不能であったであろう多発肝転移を有するケースでも、適切な薬物療法で縮小を図ったのちに切除できることもあります。大腸がんの肝転移は、切除できる場合は切除することが最も治療効果が高いので、薬物治療と手術による切除を組み合わせて治療方針を立てます。患者さんそれぞれの癌の遺伝子変異を検索したうえで、抗がん剤・分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬をガイドラインに沿って適切に使用して治療しています。

肝胆膵

 肝胆膵領域で最もポピュラーな疾患は胆石症です。そのうちほとんどの患者さんは胆嚢に石を持つ胆嚢結石症で、腹腔鏡下胆嚢摘出術で治癒します。通常4か所の傷を設けて行われることが多い手術ですが、当科では2㎝の傷が1か所の単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を導入して10年以上の経験があり、安全な手術を行っています。胆嚢結石症は、無症状の場合はすぐ手術する必要はありません。外来で医師とよく相談して治療方針を決定してください。
 胆管に結石がある場合は、消化器内科で内視鏡を使って胆管結石を除去した後に、外科で腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。

 肝がん(原発性)では、切除術、ラジオ波焼灼療法、TACE(動脈化学塞栓療法)などの局所療法と薬物療法がありますが、切除が最も望ましいと判断された場合は外科で切除術を行います。薬物療法やラジオ波焼灼療法は消化器内科で行います。
 肝臓には他の臓器のがんが転移しやすく、転移性肝がんの最も多くを占めるのは、大腸がんからの転移です。大腸がんの肝転移は、切除できる場合は切除することが最も治療効果が高いので、薬物治療と手術による切除を組み合わせて治療方針を立てます。切除術を行う場合は、腹腔鏡下肝切除が可能か、開腹肝切除が適切か、事前に検討して説明いたします。

 胆道がん(胆管がん・胆のうがん)、膵がんでは、切除可能な場合、拡大肝葉切除や膵頭十二指腸切除など、長時間を要するいわゆる大きな手術が必要となりますが、開腹手術で安全で合併症の少ない手術を行っています。
 肝胆膵のがんでは、初診時に切除が困難なケースも少なくありません。肝胆膵領域の高次専門施設である三重大学医学部附属病院の肝胆膵・移植外科と常々連携をとっておりますので、必要に応じて紹介することがあります。

虫垂

 急性虫垂炎(いわゆる“盲腸”)では、昔はほぼすべてのケースで手術が選択されていました。しかし現在は、薬剤による保存的治療か手術か、どちらが適切か、検討のうえで治療方針を選択します。手術が適切な場合は、腹腔鏡下虫垂切除術を行います。

そけいヘルニア

 そけい部(脚のつけねのあたり)に発生する、いわゆる“脱腸”です。そけい部の構造上、男性に多く発生します。小児期のそけいヘルニアは生まれつきのもので、幼児期か学童期に手術を行うことが多いです。成人のそけいヘルニアは、腹圧負荷などが原因で中高年以降に発生することが多いです。
 そけいヘルニアの治療には手術が必要です。手術は、そけい部を切開する方法(前方到達法)と、腹腔鏡を用いる方法との2種類のアプローチ方法があります。それぞれの方法に一長一短がありますので、外来診察時に具体的に説明したうえでご希望もうかがって、よく相談して、どちらの方法を選択するかを決定しています。前方到達法の場合、当科では、メッシュプラグ法よりもヘルニアの起こりやすい範囲を広くカバーできるダイレクトクーゲル法を採用しています。

年間手術件数

2019年1月1日~2019年12月31日のものです。

総手術件数 442件

外来局所麻酔手術などの小手術61件を除く

消化器(腹部)手術 396件

  総数 開腹手術 腹腔鏡手術 その他の手術
食道手術
胃癌(悪性腫瘍)手術 29件 24件 5件
胃・十二指腸良性疾患手術 6件 4件 2件
小腸手術 11件 10件 1件
大腸癌(悪性腫瘍)手術 64件 3件 59件 2件
(経肛門手術)
大腸良性疾患手術 21件 8件 3件 10件
(経肛門手術)
虫垂切除術 14件 14件
肛門(痔核、痔瘻など)手術 11件 11件
(経肛門手術)
胆石症手術 87件 11件 76件
(うち単孔式67件)
肝・胆・膵(癌)手術 26件 21件 5件
そけいヘルニア手術 110件 56件 54件
(そけい部切開法)
その他の腹部手術 17件 10件 7件
396件 91件 228件 77件

その他の手術 46件

  総数 手術 手術
呼吸器手術(肺癌など) 20件 開胸手術
14件
胸腔鏡手術
6件
乳癌手術 11件 乳房切除術
8件
乳房温存手術
3件
甲状腺手術
その他の手術 15件
46件

医師紹介

伊藤 史人 〈副院長・部長〉

出身大学
昭和63年 三重大学卒
資格
医学博士 / 日本外科学会 外科専門医・指導医 /日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医 / 日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医 / 消化器がん外科治療認定医 / 日本肝臓学会 肝臓専門医 / 臨床研修指導医 / 三重大学医学部臨床准教授 / 東海外科学会評議員 / 日本消化器病学会東海支部評議員
医師写真

野田 直哉 〈副部長〉

出身大学
平成7年 三重大学卒
資格
日本外科学会 外科専門医 / 日本消化器外科学会 消化器外科専門医 / 消化器がん外科治療認定医 / ICD制度協議会認定 ICD(インフェクションコントロールドクター)/ 臨床研修指導医 / 三重大学医学部臨床講師
医師写真

岡本 篤之 〈副部長〉

出身大学
平成16年 近畿大学卒
資格
日本外科学会 外科専門医 / 日本消化器外科学会 消化器外科専門医 / 消化器がん外科治療認定医 / 検診マンモグラフィー読影認定医 / 臨床研修指導医 / 三重大学医学部臨床講師
医師写真

武井 英之 〈副部長〉

出身大学
平成18年 三重大学卒
資格
日本外科学会 外科専門医 / 日本消化器外科学会 消化器外科専門医

金森 泰光 〈医長〉

出身大学
平成28年 新潟大学卒
資格
日本外科学会 外科専門医

浜地 真美子 〈医員〉

出身大学
令和3年 三重大学卒

伊藤 彰博 〈非常勤〉

藤崎 宏之 〈非常勤〉

吉川 美侑子 〈非常勤〉

小川 朋子 〈非常勤〉

外来診察表

休診・代診情報