医療従事者のみなさまへ
総合診療医と関わると、こんな未来が見えてきます。
── 医学生・研修医・多職種・地域の医療者のみなさまへ──

医学生のあなたへ
総合診療医の現場は、「病気を見る前に“人”を見る」ことの大切さを教えてくれます。医療面接、身体診察、そして臨床推論──その一つひとつを、実際の患者さんとの出会いを通して身につけることができます。まだ専門が決まっていなくても大丈夫。どんな科に進んでも必ず役に立つ“医師としての土台”を、早いうちから育むチャンスがここにはあります。
初期研修医のあなたへ
外来・病棟・救急・在宅──そのすべてを横断的に経験できるのが、総合診療の魅力です。知識や手技だけでなく、「この患者にとって今なにが大切か」を考え抜く力が身につきます。医師としての姿勢・態度についても、丁寧にフィードバックを受けながら磨くことができます。知識・技術だけでない、“どこに行っても通用する臨床力”をこの現場で鍛えませんか?
医師以外の他職種の皆さまへ
総合診療医は、いつも「患者さんをチームで支える」視点を持っています。入退院支援やケアマネジメント、在宅医療まで──多職種の皆さんと対等に議論しながら、一緒に患者の生活を考えていきます。また、ケアの質を担保するためのマニュアル対応も大切ですが、皆さんが現場で実践している “ひと手間”や“ひと工夫”が、医師のみでは気づけない診療全体を支える力になっているのです。
地域診療所の先生方へ
シンプルな問題であれば紹介先に困ることはあまりないと思いますが、病院総合診療医は、「専門科にはつなぎにくい」「でも診療所だけでは難しい」──そんな複雑なケースを安心して任せられる相手です。病院での精査・治療から、再び地域に戻るまで、切れ目のないケアの設計を共に担います。患者さんと診療所、急性期と慢性期の間に立つ“つなぎ役”として、この地域の医療に安心と柔軟性を提供します。
領域別専門医として働いているあなたへ
すでに特定の専門領域でキャリアを積み重ねてきたあなたにとって、「総合診療」という言葉は、これまでの専門性とはやや異なる距離感にあるかもしれません。しかし、もし日々の診療のなかで、「患者全体をもっと俯瞰してみたい」「専門性の枠を越えた複雑な問題に、もう一歩踏み込みたい」と感じるのであれば、総合診療がその思いを自然な形で広げ、深めていく道になるでしょう。
私たちの現場では、複数の疾患を抱える高齢患者、意思決定が難しいケース、退院後の生活背景を踏まえた医療など、“診る順序も視点も変わる”ような課題が日々の臨床にあふれています。こうした中でこそ、あなたの専門領域で培った「精度の高い観察力」や「判断に責任を持つ姿勢」は、診療チームに深みを与え、患者にとってより良い医療を届ける重要な力になります。
特に中小規模病院における総合診療は、診断・治療だけでなく、意思決定支援、チームマネジメント、地域との連携までを含めた“包括的な医療”の実践です。ここには、専門領域では出会いにくい“複雑さ”と“多様性”があり、医師としての視野を広げ、思考の柔軟性と対話力をさらに磨くことができます。
「専門医としての軸を保ちながら、診療の幅を広げたい」「後進の育成やチーム医療にも、もっと深く関わってみたい」──そんな思いが芽生えたとき、私たちはその挑戦の舞台を提供したいと考えています。
それぞれの立場で、総合診療医とかかわる価値は違います。でも、共通して言えるのは──「この人がいてよかった」と思える場面がきっとあるということ。
機会があれば、ぜひ一度、総合診療の現場をのぞいてみてください。きっと、これからの現代に必要な医療やケアの “本質”が見えてくるはずです。そしてその中には、皆さんが普段実践している診療に共通する部分もあれば、新しい発見と思える部分もあることでしょう。
持続可能性の高い働き方について

現在の日本の医療界では、長時間労働や過重なオンコール、プライベートとの両立困難といった“ブラックな働き方”が深刻な課題となっています。子育てをはじめとする家族との時間や自己研鑽の時間を十分に取れない職場環境も少なくありません。そのような状況が続くと、普段の診療の質だけでなく、組織の存続そのものが個人の努力に依存するようになり、長期的な持続可能性という視点で見ると、非常に脆弱で危険な状態です。
しかし当院では、こうした現状を覆す“ホワイトな医療環境”の実現を目指し、制度と文化の両面から働き方改革を進めています。当院は「女性が働きやすい医療機関」としての認証を受けていますが、そもそも女性に限らず、様々な個別の事情を抱えた「すべての人が働きやすい医療機関」を目指すべきだと考えています。
当然、男性医師・女性医師を問わず育児休業の取得が可能です(過去に、男性医師が6か月間の育休を3回取得)。院長をはじめとした幹部陣が「認められた権利は遠慮なく使ってよい」という姿勢を徹底しており、制度の実効性がしっかりと担保されています。
日常診療においても、医師やスタッフ同士が互いにカバーし合う文化が根付いており、就学児を持つ医師が入学式や卒業式、運動会、授業参観などの行事に参加できるよう、勤務調整が柔軟に行える体制も整っています。
現在、当院では子育て世代の医師が多数を占め、医師同士が理解し合い、支え合う職場文化が醸成されています。こうした環境があるからこそ、医師が安心して長く働き続けることができ、それが医療の質と継続性の向上にもつながっています。
伊勢志摩という自然と文化に包まれた土地で、医師としての臨床力を磨きながら、人としても豊かに成長する。その両立を、私たちは本気で応援しています。
子育て世代も伊勢志摩という暮らしのフィールドで、
医師として、人として成長を

当院のある三重県伊勢市は、「伊勢神宮」で知られる歴史と文化、そして豊かな自然に恵まれたまちです。伊勢志摩地域は、雄大な太平洋に面したリアス式海岸、深い緑に囲まれた山々、澄み渡るいくつもの一級河川が揃い、四季折々に移ろう自然の表情を、日常生活の中で感じることができます。
この自然環境は、医療者にとって心身のリフレッシュとなるだけでなく、子育てにおいても非常に魅力的です。近年の研究では、自然とのふれあいが子どもの認知発達やストレス耐性、情動調整能力の向上に寄与することが、国内外で次々と明らかになっています。たとえば、米国国立衛生研究所(NIH)の研究(2023年)では、住宅周囲にグリーンスペースが多く存在する子どもは、そうでない子どもに比べて、情緒的問題や注意力の困難、不安・抑うつ傾向が有意に少ないことが示されました1)。自然環境がストレス反応を緩和し、心の回復力(レジリエンス)や自己制御力を高めるという科学的根拠が示された形です。また、欧州を中心とした研究では、学校や家庭の周囲に自然が豊かに存在する子どもほど、作業記憶や情報処理速度、注意力、自己調整能力に優れていることが報告されています2,3)。こうした認知的・情動的効果は、単に空気がよいからではなく、自然の中での「日常的なふれあい」が、脳機能を高め、情緒を安定させるからです4)。たとえば「森林浴」が免疫機能やストレス応答に良い影響を与えることも報告されており5)、自然環境の効用には明確な科学的根拠があります。さらに、家庭周辺に自然が多い環境に暮らす子どもほど、認知機能全般にポジティブな効果があるという知見も蓄積されています6)。
伊勢志摩の暮らしは、こうした“子育てに理想的な環境”そのものです。子どもは自然の中でのびのびと育ち、親であるあなた自身も、自然に囲まれた落ち着いた暮らしの中で、医療に集中することができます。
さらに、伊勢志摩は食文化の宝庫でもあります。伊勢湾・熊野灘で獲れるアワビ、伊勢海老、的矢かきといった新鮮な魚介類、松阪牛や伝統和菓子「赤福」など、四季折々の“食の喜び”を味わうことができます。伊勢神宮をはじめとする歴史文化資源や、志摩スペイン村、鳥羽水族館、志摩グリーンアドベンチャーといった家族向け施設も充実しており、休日には心豊かな時間を家族と過ごすことができます。
参考文献
- NIH Research Matters. Green space may improve young children’s mental health. NIH.gov, 2023.
- Dadvand P, et al. Green spaces and cognitive development in primary schoolchildren. PNAS. 2015;112(26):7937–7942.
- Saenen ND, et al. Residential green space improves cognitive performances in primary schoolchildren independent of traffic-related air pollution exposure. Environ Health. 2023;22(1):5.
- Tillmann S, et al. Green environments and self-regulation in children: A systematic review. Int J Environ Res Public Health. 2018;15(7):1361.
- Li Q, et al. Effect of forest bathing trips on human immune function. Environ Health Prev Med. 2016;21(6):387–395.
- Wells NM. At home with nature: Effects of “greenness” on children’s cognitive functioning. Environ Behav. 2000;32(6):775–795.